Xで「『ヤバい奴を採用すると、善玉のほうが転職するという現象』に名前を付けて欲しい」と投稿したところ、フォロワー様より「悪貨は良貨を駆逐する」という超的確なリプライを頂戴した。
先日、近隣で勤めていた先輩が退職をして地元に帰ることになり、ささやかながら送別会をしてきた。てっきり、家庭の事情か、寿退職か、はたまた、仕事がしんどくなって転職かなと思っていたのだが、よくよく話を聞いてみると、そのいずれでもなく、単にその職場に見切りを付けて他の職場を探していたところ、たまたま地元にいい求人があった、ということであった。
私はその先輩の粘り強さであったり、淡々と課題を解決していくスタイルをリスペクトしていた。
そう簡単に物事を投げ出すタイプではないと思っていたので、ただ仕事場を変えたいという退職理由に、意外だなと感じていた。
何が先輩を退職という決断に至らしめたのか…私は先輩の語りを待った。すると、「同僚の存在が仕事の負担になり、その環境が変わる見込みがないと判断して退職を決めた」と先輩は言った。もちろん、私は先輩の職場の詳しい事情は知らないし、もしかしたら先輩の方にも幾分か過失といえるものがあったのかもしれない。それでも組織としては、結果的に1人の有能な人材を失った訳である。もし、自分が組織の上司であったなら、これほど残念なことはないだろう。そして、組織のマネージメントは本当に難しいと身をもって感じることになるだろうと思う。組織の上司は、部下の仕事を采配によって最適化し、成果を上げていくことが求められていると思うが、今回のケースではマネージメントの失敗という評価になるのだろう。
組織のマネージメントを考えるとき、まずは、メンバー全員がWin-Winの関係になり、かつ、組織としての成果が出ることを目指すと思う。その一方で、組織を取り巻く環境は多様であるし、メンバーの能力や個性も多様であるから、そう簡単にはいかないことも多いであろう。特に、日本的な組織においては、メンバー同士の対人関係が、かなり職場の雰囲気や環境に影響を及ぼすことは論を俟たないことから、上司は組織内の対人関係の調整に腐心するのである。今回、先輩の職場の上司がどう采配を揮ったのかは分からないが、Win-Winが難しいことが明らかになったとき、次善の策は悪貨の方を良貨に変えるよう働きかけることだと思う。そして、それが失敗したとき、次の策は、悪貨を追い出すことになると思われるが、これは大企業などであれば配置転換として正当な理由付けがなされるが、規模が小さい会社や専門職集団では、悪貨の受け皿がないため、この選択肢が使えない。そして、これを強引に推し進めようものなら、パワーハラスメント待ったなしであるし、上司にとってもメンタル的な負担は大きい。
最終的に、冒頭の「悪貨は良貨を駆逐する」という現象が起こるのだろう。2020年のマンパワーグループの調査によれば、会社員の約8割が管理職にはなりたくないという。もっとも、この8割のうち管理職になりたくてもなれない人も相当含まれているのだろうが、こうしたことからも、日本という国の構造がジリジリと変わっているのだなと感じる日々である。

